someoneおさかなサイエンス
カタクチイワシの愛情弁当
2011.12.08 11:16 by 管理人
お味噌汁のだしに使われるにぼしや,釜かまあ揚げされた小さくて白いしらす。
これらはカタクチイワシを加工したものです。日本沿岸の表層域に大き
な群れで生息するカタクチイワシのメスは,春から秋にかけてひたすら卵を産みます。しかし,長期間にわたり海水温が約10 ~
28℃と大きく変動するため,稚魚のエサとなるプランクトンが増減しやすく,稚魚の生存率に影響が出ます。
そこで,母魚が用意
するのが,卵黄という「栄養たっぷりのお弁当」です。低水温ではプランクトンが増殖しにくいため,孵ふか化した後すぐにエサを捕れない可能性があります。
そのため,卵黄をたっぷり含んだ大きめの卵を生むことで,しばらくの間生き延びることができます。しかし,母魚が蓄えられる栄養と卵巣のスペースは限られ
ているため,産卵数は減ります。
逆に,高い水温下ではプランクトンが豊富にいるため,卵黄の含有量が少ない小さな卵をたくさん産むように
なります。このとき,サイズが小さいと他の魚による捕食の危険性が高まりますが,産卵数を多くすることで,卵や稚魚の時期に大量に捕食される影響を小さく
しているのです。実際,体重20 g のカタクチイワシは水温15℃のときには約4000 個,25℃では約10,000
個の卵を産み,水温が7℃上昇すると卵のサイズが20%程度小さくなることがわかっています。
年間35 万トンと,日本第3 位の漁獲量を誇るカタクチイワシ。年ごとの変動が少なく,いつも安定した量が私たちの食卓に届けられる裏には,お母さんのたっぷり注がれた愛情と工夫があったのですね。
PDFのダウンロードはkatakuchiiwashi.pdfから
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